2006年 11月 07日
MET: Tosca |
今シーズン2作目のMETオペラのトスカ、見てきました。これは何と言っても、麗しのホセ・クーラを見聞きしたいがために行ったようなもの。感想はうーーん、残念...。
まずはマリオ役のホセだけど、わたし的には、第3幕、トスカへの愛と絶望を歌い上げる有名なアリア「E lucevan le stelle」を相当期待してたんだけど、ちょっと違和感。「あ、終わっちゃった。。」って感じだった。彼のCDに入っているような激情ほとばしる感じではなくて、悲壮感に打ちひしがれたしんみり風。アリアとしては少々インパクトが足りなくて消化不良。まぁイタリア語で一字一句まで分からないから、情感こもったリリカルな歌い方なのかもしれないけど、まだまだ未熟な私の耳には、ふつーに、あの彼のCDに入ってるようなアリアが聞きたかったかも。またまた勝手に期待しすぎました。。でもホセの歌声はやっぱり好き。男性的な強さとカラフルな歌声は所々に健在で、1幕目のトスカへの愛を語るアリア「Recondita armonia」は初っ端から飛ばしてくれてて、歌い終わるか否かの少々フライング気味のタイミングで、男性客の野太い「Bravo!」の声。うん、でもあれは良かったわ。
問題はタイトルロールのアンドレア・グルーバー。うーん、トスカはデビュー戦だったらしいが、どうもわたし的に彼女の声はお好みじゃない。彼女のトゥーランドットも見たけどその時も確かそう思った。第2幕のスカルピオとの壮絶なはずの殺人シーンも、ドラマとしては張りつめてるけど、どうもトスカの歌声に安定感がなくって少々オシイ気がした。
しかし、どのレビューを読んでみても、やっぱりこの役は、皆、マリア・カラスの亡霊に延々と追われ続けてて、この役をMETで演じるソプラノは、取りあえず、カラスのそれと比較される。確かにトスカという役柄は、嫉妬深いが愛らしさを感じさせる第1幕から、第2幕で精神的に追いつめられて、ついに殺人に至る狂気へと、気高いけれど脆い面もある複雑な役だけに難解と言われているらしい。ロンドンのロイヤル・オペラで、この前ゲオルギューがニュープロダクションで挑戦してたけど、それでもカラスと比較されて「控えめ」とか評価されてたみたいだから、ソプラノとしては満を期して、臨まなきゃならない役なのね。いつかカラスを超えるトスカは出てくるのかしら?
あと今回のちょっとした話題は、1956年にカラスのために特別に作られたというSwarovskiのステージジュエリーが50年ぶりに登場。(写真は初日代役のマリア・グレギーナ)ティアラにネックレス、イヤリングのクリスタルジュエリー、いやー、あれは遠くから見ても美しいわ。今日の両隣のおじいちゃん達も、第2幕で彼女が出てきた途端にオペラグラスで見入る感じ。みんな取りあえず、Swarovskiのティアラをチェックという事か。これらカラスが身につけたSwarovskiのステージジュエリー達は、世界中をツアーしていて、来年METでも一定期間特別展示されるらしい。
スカルピオ役は、ジェイムス・モリス。もっといやらしくてギトギトしててもいいのに、ちょっと紳士的だった。拷問に耐えるマリオの苦痛の叫び声を聞きながら、トスカを精神的にいたぶって、それでモノにしようという役柄なんだから、もっと倒錯系入ってて欲しかった。モリスと言えば、私の中では、リングのヴォータンなんだけど、好き勝手やってる割には奥さんになじられたりして、神様のくせに人間っぽく、最後にはブリュンヒルデへの父娘の愛を感じさせる暖かい役柄で、非常に好感が持ってたんだけど。このスカルピオみたいな役だと合わないのかなー。もっとギラギラした権力と欲望を感じさせて欲しかった。
指揮者は、METデビューのNicola Luisotti。いつも聞いてるのは、カラスのde Sabata指揮1953年ものなんだけど、出だしからテンポが違ったりして、最初は、ん?って思ったけれど、ドラマの緊迫感を見事に紡ぎ出して、メリハリを効かせた演奏だった。
舞台はゼフェレリで、初演は1985年の息の長いプロダクション。METも09年にはニュープロダクションをやるらしいので、今のうちにゼフェレリものは見ておかないと。ただ今日はドレスサークルから見てたんだけど、ちょっと上過ぎて、第3幕の真ん中の象徴的な像の上が欠けちゃって、ちょっと残念。やっぱりドレスサークルの限界かしら。まぁ次からはお財布と相談だなー。
おっと、そうだ。あれだけムカついたベルモントルームの老スタッフ。残念ながら今日は別の老スタッフだった。でも前回のトラウマか、あのサイドテーブルには近寄る気がしなかった。後遺症は続く。。
まずはマリオ役のホセだけど、わたし的には、第3幕、トスカへの愛と絶望を歌い上げる有名なアリア「E lucevan le stelle」を相当期待してたんだけど、ちょっと違和感。「あ、終わっちゃった。。」って感じだった。彼のCDに入っているような激情ほとばしる感じではなくて、悲壮感に打ちひしがれたしんみり風。アリアとしては少々インパクトが足りなくて消化不良。まぁイタリア語で一字一句まで分からないから、情感こもったリリカルな歌い方なのかもしれないけど、まだまだ未熟な私の耳には、ふつーに、あの彼のCDに入ってるようなアリアが聞きたかったかも。またまた勝手に期待しすぎました。。でもホセの歌声はやっぱり好き。男性的な強さとカラフルな歌声は所々に健在で、1幕目のトスカへの愛を語るアリア「Recondita armonia」は初っ端から飛ばしてくれてて、歌い終わるか否かの少々フライング気味のタイミングで、男性客の野太い「Bravo!」の声。うん、でもあれは良かったわ。
問題はタイトルロールのアンドレア・グルーバー。うーん、トスカはデビュー戦だったらしいが、どうもわたし的に彼女の声はお好みじゃない。彼女のトゥーランドットも見たけどその時も確かそう思った。第2幕のスカルピオとの壮絶なはずの殺人シーンも、ドラマとしては張りつめてるけど、どうもトスカの歌声に安定感がなくって少々オシイ気がした。
しかし、どのレビューを読んでみても、やっぱりこの役は、皆、マリア・カラスの亡霊に延々と追われ続けてて、この役をMETで演じるソプラノは、取りあえず、カラスのそれと比較される。確かにトスカという役柄は、嫉妬深いが愛らしさを感じさせる第1幕から、第2幕で精神的に追いつめられて、ついに殺人に至る狂気へと、気高いけれど脆い面もある複雑な役だけに難解と言われているらしい。ロンドンのロイヤル・オペラで、この前ゲオルギューがニュープロダクションで挑戦してたけど、それでもカラスと比較されて「控えめ」とか評価されてたみたいだから、ソプラノとしては満を期して、臨まなきゃならない役なのね。いつかカラスを超えるトスカは出てくるのかしら?
あと今回のちょっとした話題は、1956年にカラスのために特別に作られたというSwarovskiのステージジュエリーが50年ぶりに登場。(写真は初日代役のマリア・グレギーナ)ティアラにネックレス、イヤリングのクリスタルジュエリー、いやー、あれは遠くから見ても美しいわ。今日の両隣のおじいちゃん達も、第2幕で彼女が出てきた途端にオペラグラスで見入る感じ。みんな取りあえず、Swarovskiのティアラをチェックという事か。これらカラスが身につけたSwarovskiのステージジュエリー達は、世界中をツアーしていて、来年METでも一定期間特別展示されるらしい。
スカルピオ役は、ジェイムス・モリス。もっといやらしくてギトギトしててもいいのに、ちょっと紳士的だった。拷問に耐えるマリオの苦痛の叫び声を聞きながら、トスカを精神的にいたぶって、それでモノにしようという役柄なんだから、もっと倒錯系入ってて欲しかった。モリスと言えば、私の中では、リングのヴォータンなんだけど、好き勝手やってる割には奥さんになじられたりして、神様のくせに人間っぽく、最後にはブリュンヒルデへの父娘の愛を感じさせる暖かい役柄で、非常に好感が持ってたんだけど。このスカルピオみたいな役だと合わないのかなー。もっとギラギラした権力と欲望を感じさせて欲しかった。
指揮者は、METデビューのNicola Luisotti。いつも聞いてるのは、カラスのde Sabata指揮1953年ものなんだけど、出だしからテンポが違ったりして、最初は、ん?って思ったけれど、ドラマの緊迫感を見事に紡ぎ出して、メリハリを効かせた演奏だった。
舞台はゼフェレリで、初演は1985年の息の長いプロダクション。METも09年にはニュープロダクションをやるらしいので、今のうちにゼフェレリものは見ておかないと。ただ今日はドレスサークルから見てたんだけど、ちょっと上過ぎて、第3幕の真ん中の象徴的な像の上が欠けちゃって、ちょっと残念。やっぱりドレスサークルの限界かしら。まぁ次からはお財布と相談だなー。
おっと、そうだ。あれだけムカついたベルモントルームの老スタッフ。残念ながら今日は別の老スタッフだった。でも前回のトラウマか、あのサイドテーブルには近寄る気がしなかった。後遺症は続く。。
by threenorns
| 2006-11-07 23:57
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